メリット1 簡素な手続 議定書を利用し商標の国際登録出願をする場合には、所定の手数料をWIPOへ送金し、所定の様式書類に、必要事項を記載し、本国官庁(日本国特許庁)に提出すれば、基本的な手続は完了です。 商標の保護を求める各国の特許庁に出願書類を提出する必要はありません。また、指定した締約国で保護が拒絶された場合であって、その締約国で再審査の請求等を行う場合には、その国の代理人に手続を依頼する必要がありますが、それ以外には基本的には外国のその国の代理人への委任も不要ですから、自分で簡単に手続を行うことができます。 メリット2 書類作成が簡単 (1) 国際登録出願では、一通の出願書類の中で商標の保護を求める締約国を指定(該当欄をチェック)します。各国別出願の場合のように出願書類を各国別に作成する必要がありません。 (2) 国際登録に係る出願の書類は英語で作成します。しかし、各国別出願の場合のように各国毎の言語への翻訳等は不要になりますので、誤訳の減少も期待でき、国毎の指定内容の把握が容易です。 メリット3 権利管理の簡便化 存続期間の更新や、名義人の変更等の手続は、国際事務局に行います。その結果、商標が保護されている複数の指定締約国で効力を生じます。 また、登録状況が英語(一部の国のものは仏語)で把握でき、権利範囲の確認など管理が容易です。 メリット4 経費の削減 国際登録出願の費用と、各国別の登録出願の費用を比較した場合、後者では、それぞれの国の要件にあった出願書類を作成することが必要ですので、各国代理人の報酬や翻訳等の費用が必要です。 もっとも、前記メリット1に記すとおり、指定した締約国の一部の国で保護が拒絶され、再審査の請求等を行う場合には、各国別に登録出願をする場合と同様に、その締約国の代理人が必要となり、その費用が生じますが、このようなことがなければ、国際登録出願では、その分の経費が節減できます。この点は出願時のみでなく、国際登録後の更新、変更等についても同様です。 メリット5 迅速な審査(拒絶期間の制限) 指定した締約国の官庁が、その国際登録出願にかかる商標の保護を拒絶する理由を発見した場合には、国際事務局が国際登録されたことを指定締約国に通報した日から1年又は18カ月(我が国は18カ月)以内に、国際事務局に暫定的拒絶の通報をしなければなりません(国際事務局はその内容を出願人に通知します)。各国に直接出願する場合には、通常このような審査(拒絶)期間の制限はありませんので、国際登録出願の場合には締約国では迅速に審査されることになります。 |