小中高等学校および高等専門学校における「知財創造教育」の普及を推進すべく、内閣府に知財創造教育推進コンソーシアムが2017年に設置されました。
発明推進協会も「知財創造教育」の普及に貢献するため、青少年向けの教材を作成することになりました。教材の作成にあたり、国の方針に沿うと同時に、教育現場で実際に使用していただける内容とするため、知財および学校教育に関する有識者等からなる「知財創造教育教材作成委員会」を設置し、多方面の意見を反映させた教材の作成を目指しました。
「知財創造教育」の詳細については知的財産戦略推進事務局のホームページをご参照ください。
名は体を表すと申しますが、『アイデアのことを考える本』は正しく、「アイデア」について10代の入り口近くにいる子どもたちが主体的に語り合い、深掘りし、その意味合いを探るとともに、アイデアに対してどのように向き合っていくかを「考える」、それを応援する「本」と考えます。
この本の起点には、知的財産教育の推進という政府の枠組みがありますが、本委員会は、子どもたちに知的財産のルールを教える教本ではなく、知的財産の本質を感じてもらうためのツールを目指しました。そのため、教育現場での使いやすさ、既存の教科との親和性にも配慮し、ティーチングノートも並行して準備いたしました。
小学校教員の皆さま、学内・学外の活動に関与なさっている方々に、『アイデアのことを考える本』を手に取っていただき、授業の枠内・枠外を問わず、子どもたちと語り合い、行動するきっかけとして活用していただければ幸いです。
本書の作成にあたり、全体の監修をさせていただきました。
私は愛媛県の公立学校で工業教育に長年携わってまいりました。その中で、平成13年からは発明協会やINPITが実施する「実験協力校事業」に参加し、カリキュラムや教材の開発、調査研究ならびに指導書の執筆などを続けてまいりました。
教育現場に知財教育をいかに普及させるかをテーマに活動してきた中で、アイデアを数値化できる紙タワー教材を平成13年に発案し、普及啓発を推進してまいりました。本書においても取り上げておりますので、「そもそもアイデアとは何か?」を児童・生徒さんが考えるきっかけになれば幸いです。
「日本は資源小国だけれども、知財(アイデア)大国だよね」と世界中の人々から言われる日がくるのを夢みています。小学校などで本書の積極的な活用を熱望します。